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2026年01月31日

【介護保険最新情報Vol.1466】 協働化・大規模化ガイドラインを正しく読む ― 介護事業者が誤解しやすいポイントを整理

令和8年1月30日、厚生労働省より「介護保険最新情報Vol.1466」として、
「介護現場の働きやすい職場環境づくりに向けた経営の協働化・大規模化の進め方ガイドライン」が公表されました。

この通知は、「新たな義務が課された」「全事業所が対応しなければならない」という性質のものではありません。
厚労省は原文において、介護現場を取り巻く厳しい状況を踏まえ、職場環境改善や生産性向上の取組とあわせて、協働化・大規模化等による経営改善の取組が必要であり、これらを推進していると整理しています。

つまり本ガイドラインは、制度変更を告知する通知ではなく、
介護事業所や法人が、将来を見据えて経営を検討する際の「考え方」と「進め方」を整理した資料として位置づけるのが適切です。

協働化・大規模化は「合併ありき」ではない

「協働化」「大規模化」という言葉だけを見ると、
・小規模事業所は淘汰されるのではないか
・合併や統合を迫られるのではないか
といった不安を抱く方も少なくありません。

しかし、ガイドラインで示されている協働化とは、
複数の法人・事業所が組織的な連携体制を構築し、必要な領域を協働して実施していくことを指しています。
必ずしも経営統合や法人合併を前提とするものではなく、
人材育成、研修、採用、間接業務、ICT活用、災害対応など、
「一法人では対応が難しくなってきた領域を、連携によって補う」という考え方です。

また、大規模化についても、
定員拡大だけでなく、事業展開、事業所増設、合併や事業譲渡などを含む概念として整理されていますが、
これらはあくまで検討の選択肢として示されているものであり、
一律に推奨されているわけではありません。

ガイドラインの目的は、
協働化・大規模化を検討する際の判断に資する情報を提供することにあります。
自法人・自事業所の理念、地域ニーズ、人材状況、経営体力を踏まえ、
「自分たちにとって現実的な選択肢は何か」を考えるための材料だと理解することが重要です。

進め方のポイントは「段階的に、関係づくりから」

ガイドライン(概要)では、協働化・連携を進める際の考え方として、
いきなり大きな枠組みを作るのではなく、段階を踏んで進めることの重要性が示されています。

まずは、他法人・他事業所、自治体、関係団体との「つながり」をつくり、
共通の問題意識を共有できる関係を形成すること。
そのうえで、どの領域で協働するのか、どのような体制で進めるのかを検討し、
実施後には必ず振り返りを行い、改善につなげていく。

この流れは、現場感覚にも合致します。
連携がうまくいかない多くのケースは、「制度ありき」「形式ありき」で話が進み、
現場の納得や共通理解が置き去りになることにあります。
ガイドラインは、そうした失敗を避けるための視点を、実践事例を通じて示しています。

実務者にとっての読みどころ

この通知は、経営層だけのものではありません。
現場で働く職員や中間管理職、ケアマネジャーにとっても、
「なぜ今、連携や協働の話が出てくるのか」を理解する手がかりになります。

人材確保が難しく、業務が複雑化する中で、
現場の努力だけに負荷をかけ続けることには限界があります。
協働化・大規模化という視点は、
現場を守り、サービスを継続するための経営的な工夫として位置づけることで、
職員への説明や合意形成にも活かすことができます。

誤解しないために大切なこと

Vol.1466は、あくまで「考え方と進め方」を示したガイドラインです。
義務化や必須対応を示す通知ではありません。
また、他の介護人材評価制度や外部評価制度など、別通知・別制度の内容とは切り分けて理解する必要があります。

厚労省の原文表現を丁寧に読み取り、
「何が示されていて、何が示されていないのか」を整理することが、
現場や経営を混乱させないための第一歩となります。

▶ 介護キャンパスへのリンク

https://kaigocampus.com/


(筆:ベラガイア17 人材開発総合研究所 代表 梅沢佳裕
社会福祉士・介護支援専門員・研修講師)

 

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